THRASH DOMINATION '05 2005/09/17 at CLUB CITTA 川崎





おそらく日本で今年行われたライヴの中で最も消費熱量の激しいライヴ、
THRASH DOMINATION '05に行ってきました!
土曜日です。初日です。
ほんとは2日とも行きたいところだけど、
私のお目当てのバンドはたった一つだけだったりするので、一日だけで我慢しました。
ていうかチケット代高いんじゃ!

実はあんまりスラッシュって得意じゃないんだよね。
それなのに、異常に好きなバンドが一つだけある。
それが、KREATOR
なんとなく脳味噌足りなさそうな印象の多いスラッシュシーンの中で、
いつもシリアスで真っ暗な音楽をやり続けるKREATOR。
ま〜初期の曲は頭の足り無さそうな感じもあるんだけどもさ。
それでも普通はちょっとは遊びっぽいものが感じられたりするもんだけど、
彼らの音楽には、笑顔だとか、楽しさとか、安堵感とか、
そんなものが一切感じられない。
苦悩と憎悪。絶望と悲哀。ありったけの暴力と残虐性。
世の中の負の要素のみを表現し続けて20年。
そんな音楽を好んで聴いている私って何?とも思ってしまうが。
ともかくただ頭を振るためだけの音楽ではなくて、
めっちゃシリアスなテーマを抱えた音楽を提示し続けているバンドなのだ。

彼らのそんなシリアスな面は、ライヴでも全く崩れる事がなかった。
すさまじい緊迫感を放っていた驚異のステージを、 わずか1時間だけど目撃してまいりました。

ていう訳で、スラドミ05の感想と言うより、殆どKREATORの感想です。

ご存じの通り、このイベントは4つのデカいバンドの競演なんである。
KREATORの出演順は、なんと一番目。
おいおい、オープニングアクトかよ〜。
ま〜持ち時間はトリ以外みんな一緒なので、順番はあんまり関係ないかも知れない。
噂に寄れば、本人達もあまり気にしていないようで、
「かましてやる」と言っていたとのことです。くぅ〜!(マサ伊藤情報)
でも、KREATORしか興味ないも〜んっていう私みたいな人間にとっては好都合だ。
整理番号順とはいえ、ちゃんと開場時間に行っていれば、
結構ステージが見えるところで観戦できるかも知れない。
ちゅーか、KREATORが一番最初なら、先行予約で取っておくんだったよ・・・。
などと後悔しても仕方ないので、とにかく開場までにCLUB CITTAに到着。

土曜日のチッタ内は、カップルやら家族連れやらが、
小綺麗な町並みの中で週末のひとときを楽しんでいる訳だが、
そんな中、スラドミ05に行くと思わしき人達が、
まるでこの風景に似つかわしくない風体の人達が、
CLUB CITTA目指してぞろぞろと歩いている。
ちょっと胸のすく光景だ。

私のチケットはB番号。
A番号の人が800〜1000人くらいいたようで、
その後の入場になるんだけど、
あんまり時間通り来てる人って少ないのかな?
私が会場に入ってみると、
なんと、真ん中ら辺はまだ一列目しか人がいないじゃありませんか!
みんな結構一段後の方で遠慮しちゃって。
最前列の真ん中はかなり背の高いでかい人間が占めていたけれど、
私が狙っていたステージ真ん中少し右寄り、
即ち、ミレとサミの中間地点は、ちょっと背の低い人達が。
ラッキー!この場所を死守だ!
中央最前付近はかなりの荒れ模様が予測できるが、
折角のKREATORのライヴ、
どんなに苦しくても怖くても、近くで観たいんじゃ!!
決死の覚悟で、危険地帯で待機。
開演間近になると、さすがに私の背後にもびっちりと人が埋まっていた。
そして、客電が落ち、SEが流れ、ステージ袖からドライアイスが這い出してきた。

客席からは「KREATOR」コールが始まった。
ステージにメンバーが現れる。
次の瞬間、恐ろしいまでの圧力が背後から押し寄せてきた。
予想通りなんだけどさ。もう圧死するかとも思わせるような強烈な押しだったよ。
ぎゅうぎゅう詰めの中、前後の人には申し訳ないが、
左腕を前に押しつけ、とにかく息が出来るように空間を確保。
はぁはぁはぁ。
いや、興奮もしているけれど、息苦しいんです。押されてて。
そんな中繰り出された一曲目は、当然の如くEnemy of God。
すぐ後から「速ぇ!」っていう声が聞こえた。
苦しいなんて言ってる場合じゃない。
正に目の前に、ミレが、サミが、ヴェンターが!
スピージーは、私のいるところからは見えない。あう〜。
ミレと一緒に叫ぶ。「ENEMY OF GOD!!!」
あ〜、本物だよ〜。すぐ目の前にいるよ!
バンドは非常にタイトで、全く非の打ち所のない演奏を繰り広げている。
サミはザクザクのスラッシーなリフから、流麗でメロディックなソロまで
時には笑顔を浮かべつつ、そつなくこなしている。
ヴェンターのドラムはパワフルで、速い2バスも安定している。
かつて「Toxic Trace」のビデオで露呈していた迷走ぶりが嘘のよう(笑)
しかし、ヴェンターと私の間には、のそっと立っている警備のお兄ちゃんが。
お兄ちゃんと目があったが、私が見たいのはアンタじゃなくて、
アンタの向こうにいるヴェンターなんだよ。退いてくれよ。
などと思っても退いてはくれないんだけどね。邪魔だ〜。

ミレは、血を吐きそうな悲壮な咆吼を放ち続けている。
Inpossible Brutality、Suicide Terrolistと
アルバム「ENEMY OF GOD」の激烈ナンバーを立て続けにガシガシと演奏。
ミレの口から、「ありえない残虐性」に満ちた言葉が吐き捨てられるのが
とてつもなく心地良い。
初期の名曲Pleasure to Killが割と早い時間に演奏された。
Phobiaも次くらいに。
周りはあまりサビを歌ってないけど、もしかして知らない?
私は全力で彼らの演奏に答えるべく叫ぶ。
People of the lieもしかり。
苦しい。押されてて。もう息も絶え絶えです。
こんなに苦しいライヴも久々だ。
でも、もの凄い充実感。これだよ!

気を失いかけそうな中、 アルバム「Violent Revolution」の美しいツインハーモニーギター、
The Patriarchが演奏される。
ステージ奥から客席にライトが照らされ、ステージの上は何も見えない。
この曲をライヴで聴きたかった。
感動で目眩がする。もしくは酸欠で?
続いて演奏されるのはもちろんViolent Revolution。
叫べ!飛べ!しかしぎゅうぎゅうで思うように動けない。
にしてもこの曲のギターは美しい。
ミレはソロになるとステージ左手に行ってしまったので、
結局彼がソロを弾いている所は観れずじまいだった。
その代わり、スピージーがこっちに来てくれた。
前屈みになってベースをぶら下げるようにして、
頭をグルングルン振り回して弾く姿がめちゃめちゃかっこいいスピージー。
ライヴ中何回か右手に来てくれたけど、 一度だけ、スティーヴ・ハリスのように、
ベースのネックを観客の方に突きだしてみせた。
ビデオでも見た覚えが無いので、珍しいのかもしれない。
しかも笑顔で。スピージーの笑顔、初めて見たわ。
私はその笑顔と突き出されたネックの方向にいたので、
スピージーの株急上昇です。ゲンキンですね〜。
逆に目が合って怖ぇのはミレ。
歌ってる最中に、ギロリとこちらの方角を見下したミレ。
なんか睨まれたような気がして、とても恐怖を感じました(笑)
そうこうしている内に、Voices of the Deadだのがまったり終了。
何の曲だったっけ。と思ってたら終わっちゃった。
歌えなくてゴメン。

後半は過去の名曲のオンパレード。
Extreme Aggression!
Terrible Certainty!
いや、順番覚えてないけど。とにかく演ってくれた。
赤いライトに照らされたミレのMCは、とても効果的。
すごく雰囲気を造るのが上手いなって思った。
「I , feel....,the atomosphere,...the aggression...in this place...!!!」
てな感じだ。わかんないな、文字で書いても。
ミレのMCはとても解りやすくて、何を言っているか殆ど聞き取ることが出来た。
MCでシリアスな雰囲気を増幅させつつ、
重厚で、時に爆走するステージは、ガンガン進んでいく。
終盤はBetrayer、Tormenterといった激走必殺チューンを立て続けにカマす。
曲途中でギアが突如入れ替わったようにガクンと変わるリズムシフト。
ノリが特殊なこの2曲は、初期KREATORの特徴を如実に表していて大好きだ。
古いスラッシュファンも今日は多かったと思うけど、
やっぱりこの辺りの曲でかなり盛り上がるようだ。
そして残念なことにもう最後の曲に。
その前のMCが、スラッシュ界きっての社会派・ミレらしい内容だった。
曰く、「君らが持っている、憎しみの感情を、
くだらない政府に、社会に、そしてテロリスト共に抱いている憎しみを開放するんだ!」
みたいなね。
「The time! to raise! the Flag of 」
「HATE!」
「後の方が言ってない。君らが持っている憎しみの感情を叫ぶんだ!Hateだよ。H・A・T・E!」
とか言って、客に「HATE」コールを強要。ちょっとこの辺おもしろかった。
もちろん最後の曲は、Flag of hate。
苦しかったけれど最高に楽しかったライヴ、終演。

・・・・ていうか、これで終わりかよ〜(泣)
Riot of Violenceは?Terrorzoneは?Under the Gillotineは???
もしかして明日やるのか?
やっぱり1時間は短すぎる!
フェスではなく、フルセット単品で観たかった!
ヴェンターのヴォーカル、観たかったよ・・・・。
でも終演後の私は、満足感で一杯だ。
こんなに近くで観られるとは思っていなかったし。
苦しかったけれど、勇気を出して前で観てよかった。


その後のバンドはあまり興味を持っていなかったので、
セットチェンジの間にドリンクチケットを交換。
カップを片手に後方でまったり観ることに。
先ほどの最前列の狂乱ぶりとはうって変わって、
後の方は静かで落ち着いている。
ステージは・・・全く見えない(泣)
次はLaaz Rockitなんだけど、メンバーの人達が全然見えません。
曲も全然知らないし。
ちらりと見えたりするけど、すんごいオッサンがステージにいた気がする。
最初は少しは聴こうと思って聴くんだけど、
さっきのKREATORのライヴの余韻が私の胸の99%位を占めていて、
知らないおじさんのライヴには全然集中できませんでした。
ノリもなんだか大味だし。
ステージの雰囲気が全然違っていて、こちらはかなり朗らかな(?)感じでした。
さっきの暗くて緊張感漂うステージが懐かしい。

後の方は冷房も効いていて、汗まみれでビショビショTシャツはもう冷え冷えです。
ステージにも集中できないし、このままでは、いるだけで辛くなってきそう。
次のDESTRACTIONも同じ様な感じなら、もう途中で帰ってしまおう。。。
でももうちょっとステージの人が見えそうなところまで行こうかな。
と、少しは前に寄ってDESTRACTIONは観ることにしました。
なぜか周りは女性だらけ。しかも普通の服の人だったりして。
前の方にいたときは、ヤローばっかりだったんで、ちょっとだけ違和感。
でも始まると、結構首振ったりする人もいたりして。
幼気な少女っぽい人がブンブン振ってると、なんだか可愛くて嬉しい。
それはいいとして、DESTRACTIONは、意外に楽しかった。
曲は殆ど知らなかったんだけど、自然にのれるし、
バンドも非常にタイト。さすがスリーピース。
しかもスリーピースとは思えない重厚な音。かっちょえ〜!
リフのユニゾンのザクザク感が、物凄く格好良かった!
特にドラムの音が私好みでした。
ちょっと深みのある、オーガニックなドカドカした音でした。
バスドラがちょっと危ういときもあるけど、まあまあ上手いし。
シュミーアさんが、ちょっとマノウォーの人みたいな格好だったけど、
なんだかとても格好良かった。
あの姿で「ヒャー!」とかいう貧相な高音スクリームをかます辺りがとてもキュート。
ステージの3カ所にマイクを立てて、あっちこっちで歌っていました。
サービス精神旺盛というか、工夫しています。
MCも面白かったし。
「ここはカワサキ?トーキョー?今夜はカワサキの方が多いね。」
「Are You ready? トーキョー or カワサキ?まあとにかくJapan!」
「ニホンゴムズカシー!」
最後の一言はこれかよ(笑)
DESTRACTIONは、明日は違う曲をやると言っていました。
羨ましいですね。
KREATORはどうなんだろう・・・とても気になる。
大筋は今日と同じなんじゃないかなって思うけど、
最後の方は少し変わったりするのかな。
今度来日するときは、是非ともメインアクト、フルセットで来て欲しい。

そんなわけで、ベイエリアvsジャーマンみたいな構図に奇しくもなっていたスラドミ05、
私は予想通り、ジャーマン勢のみ、ものすごく楽しめました。
えっ?トリのTESTAMENTはどうだったかって?
・・・・ごめんね。TESTAMENTが始まる前に、しんどくて帰っちゃいましたー。
なんか後で聞いた評判は凄く良かったみたいだけど、
私はあんまり好きじゃないし、やっぱUSのバンドってノリが合わないかも。
TESTAMENT観なかったなんて勿体ないって思う人多いかも知れないけど、
とりあえず個人的には、チケット代分充分楽しんできたつもり。
当分KREATORのステージの後遺症が残っていることでしょう。



*******あとがき(または懺悔)*******

Burrn!誌に17日のレビュー&セットリストが載っていた。
やっぱり私のかろうじて覚えていたセットとは順番がちがう〜。
言われてみればPresure to Killは3曲目だったような気もする。
でも最後はFlag of Hateだったような気がするんだよな。
Betrayerに続けてTormentorやった様な気がするんだよな。
でもそれはライヴDVDの曲順と混同しているのかも知れない。
記憶もどんどん薄れていくし。
あ〜なんて不確かなんでしょう。
だってビデオ見るまで後にEnemy of Godのアートワークのバックドロップがあったの、
全然気付いてなかったもんな〜。。。
それ程までに興奮していたので御座いましょう。
そんな間違いも消さずに曝しておこう。えへっ。
とりあえず、すんげえライヴだったと言うことは、客観的に見ても間違いなかったようだ。
 





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